更新:2020.4.23
小さな会社・中小企業支援マーケター
渡辺 裕貴
昨夜の仕事帰り、
シャンプーとボディーソープが切れかかっていることを思い出し、
近所の薬局に行きました。
もう閉店間際の23時頃だったと思いますが、
眠い目をこすりながら店内を歩いていたら
ある商品棚を見かけました。
これです。
私はこの棚を見た瞬間、
「薬局で香水を買う人はいるのかな?」
「わざわざショーケースを開けてもらってまで」
と疑問を持ちました。
そもそも私はこの薬局に100回以上来ているのに
「あ、香水売ってるんだ」と
認識して棚を覗いたのは今回が初めてだったのです。
それは私の観察力がニワトリなみだから?
いいえ、違います(苦笑)
人間にはRAS(脳幹網様体賦活系)という
脳のフィルター機能がついています。
簡単に言えば
” 本人にとって必要な情報のみを取り入れ ”
” 本人にとって必要でない情報は排除する ”
という機能です。
例えば通勤・通学で長年通ってる道なのに
「あ、こんな建物あったんだ」
「あ、こんなお店あったんだ」
なんてことはありませんか?
それは今まで視界の中には入っていたものの
皆さんの脳が ” 必要でない情報 ” として
排除していたからなのです。
今回の話で言えば、
日用品や消耗品を買いに行く顧客にとって
” 香水 ” はまったく意図しない不必要な情報です。
ですから店内に堂々と陳列されていても
脳のフィルター機能に排除されるので
情報として認識されないのです。
けっして私の観察力が
ハムスターなみだからではないのです。
そして、ここからが重要なのですが
もし仮に気づかれたとしても
「薬局でブランド香水を買う人はいるのか?」
という点です。
確かに薬局でも香料を扱った商品はあります。
制汗剤や低単価なフレグランス・ボディスプレーです。
男性用だとこんなのとか。
女性用だとこんなのとか。
どちらにしても1,000円もしない低単価な商品です。
こういった商品に顧客が求めているモノは
「汗臭いのが不快だ」(生理欲求)
「友達に臭いと思われたくない」(社会欲求)
という思いから逃れたいという欲求です。
対して、云千円〜云万円もするような
ブランド香水の目的はオシャレですから、
「異性にモテたい」(承認欲求)
「このブランドのものを身につけたい」(自己実現)
といった欲求になるはずです。
そうなると、
「どうせ買うなら正規店で買いたい」
「ちゃんとしたショップで買いたい」
という考えになってくると思います。
ではやはり
「薬局でブランド香水は売れないのか?」
と言うと、そうとも言いきれません。
自己実現や承認欲求を叶える
オシャレのアイテムとしては売れないかもしれませんが
生理欲求や社会欲求など、
「抱えている悩み」や「逃れたい現実」
を解消する商品としてなら売れる可能性もあります。
そう、狙う顧客の欲求を変えるのです。
これは「マズローの5大欲求」といい
人間の基本的な5つの欲求を示したものです。
詳しい解説は今回は省きますが、
ブランド香水が薬局で
「モテたい」(承認欲求)
「このブランドの商品が欲しい」(自己実現)
に応える商品として売りづらいのであれば
さらに下の欲求を狙えばいいのです。
例えば
” 自分の汗の匂いが気になる人 ”
をターゲットにするなら
「40代からの加齢臭を抑え、家族から嫌われなくなる香水」(社会欲求)
「ワキガが気になる人、気になる臭いを抑える香水」(生理・社会)
とかです。
顧客がすでに抱えている痛み・悩みに対し、
「この商品はソレを解消する商品ですよ」
とアピールするのです。
もちろん、
今回の題材であるブランド香水は
そういった悩みの解消を目的に
作られている商品ではありませんから
訴求は自分たちでやる必要があります。
しかし、こじつけでもいいので
◎理論(なぜ、そうと言えるのか)
◎証拠
さえ揃えることが出来れば、
既存の商品を違った方向性で売り出すことはできるのです。
理論であれば、
「この○○香水に使用されている✖️✖️という成分は、
加齢臭の原因である●●の臭いを抑える働きがあるのです」
とかです。
おそらく、どんな香水でも加齢臭の臭いを
多少は緩和することは出来るはずです。
要は言い方の問題なのです。
(もちろん嘘はダメ)
けど、これを読んだ加齢臭に悩む顧客は
「なるほどな〜」と
検討段階に入るはずです。
そこで証拠です。
この場合は「お客様の声」とかが良いでしょう。
モニターなどで、徹底的に使用者の生の声を集めて
ブースに掲示をします。
実際の使用者の実体験は
検討中の顧客を納得させる何よりの証拠となりますからね。
と、このように
自社では売れていない既存商品でも
◎新しいコンセプト
◎それを裏付ける材料(理論や証拠)
さえあれば、
もう一度売り出すことは可能ということです。
今回は私が書いた内容で売れるかは
やってみないと分かりませんが
そのまま放置しておくよりは改善されると思います。
そして皆さんの事業でも
売れてない商品があれば、
こうして新しいコンセプトや方向性を
考えてみるのも大切だと思います。
最後に私がこの話の中で一番伝えたかったのは
日常の何気ない買い物の中でも
「この商品、私ならこう売るな・・・」とか
「これ売れてなさそう、俺ならこう売る」とか
考えてみることが重要ということです。
日々、修行ってことですね。
大変長くなりましたが本日はこの辺で終わりたいと思います。
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